2022年03月26日
お子さんのワクチン接種と歯科治療のタイミング
5~11歳のお子さんにも新型コロナワクチン接種が進められています。
歯科医院受診の日程の近くにワクチン接種予定日が設定されてしまった場合はどうすれば良いかについて、当院の見解を記します。
新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンを含む各種予防接種と、局所麻酔や歯科治療とは基本的には影響し合うものではありません。
ワクチン接種と歯科治療や外科手術の間にどのくらい日数を隔てるべきかについて、明確な科学的根拠はまだ示されていません。
ワクチンには発熱等の副反応があり得ますし、歯科治療もお子さんの性格、特性や歯科治療の内容によっては心身が消耗しますのでそれを勘案する必要があるでしょう。
お子さんに基礎疾患があればより慎重に対応すべきです。
両者の日程が近くないに越したことはありません。
日本口腔外科学会では局所麻酔による抜歯等からワクチン接種までは1週間以上(縫合した場合は抜糸の日から起算)、ワクチン接種から抜歯等までは3日以上あけることを提言しています。
https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2021/0604_01.pdf
新型コロナにしても流行期のインフルエンザにしても、ワクチン接種の予約はなかなか取れないことも多いので、歯科治療に緊急性がなければワクチン接種のチャンスを優先していただくのが良いと思います。
当院においては下記のような対応としています。
歯科治療が先の場合
歯科治療から3日程度以上日が経っていて体調に問題なければワクチン接種を予定どおり実施いただく。
ワクチン接種が先の場合
ワクチン接種から1週間程度あいて、副反応もおさまっていれば歯科治療も問題なくおこなえると考える。
ワクチン接種後3日程度以内の予定で歯科での虫歯(むし歯)治療や抜歯の予約が入ってしまっているなら歯科を延期していただくのが無難です。
しかし、5歳児の複数の重度虫歯(むし歯)の治療と11歳児の生えかわりの乳歯1本の簡単な抜歯とでは、要する時間やお子さんにかかるストレスは大きく違いますから一概には言えません。
また、歯科治療に緊急性がある場合、たとえば歯の外傷(怪我)や、重度虫歯(むし歯)で歯の強い痛みや顔の腫れなどの炎症症状が起きているような時はこの限りではありません。歯科治療はしなければなりませんし、この際はワクチン接種の方を延期した方が良いこともあり得ます。
スケジュールの都合でどうしてもワクチン接種と歯科医院の予約が同日やその前後に重なってしまった場合はどうすれば良いでしょうか。
歯科での定期診査、少数歯のシーラントや歯石除去、予防処置程度であれば通常は問題なく、心身にある程度の負担のかかる虫歯(むし歯)の治療や抜歯等が必要であればそれらは延期を検討するのが良いかと思います。
とはいえ、上記にも明確な科学的根拠はなく、かかりつけの小児科医師、歯科医師ともよく相談しながら必要な歯科治療の内容やお子さんの性格、特性、基礎疾患、体調等を総合して判断し、日程をお決めになると良いと思います。