2014年11月15日
小児歯科診療 シーラント
シーラントをしておけば良かった・・・。
先日、定期診査(定期健診)におみえになった3歳後半のお子さん。
半年前の健診の際に、削って治療するべき虫歯(むし歯)はなく、全ての奥歯にシーラント(虫歯(むし歯)になりやすい奥歯の溝を削らずに埋める予防処置)をしようとご提案したのですが、お母さまも私たちも時間に余裕がなく、「半年後の健診のときにシーラントをしましょう」と見送ってしまいました。
上のお子さんには虫歯(むし歯)の治療経験があったので、このお子さんにも虫歯(むし歯)になるリスクがあるのはわかっていたはずなのに・・・。
そして、半年後。
残念なことに奥歯8本のうち3本の溝の部分が虫歯(むし歯)になってしまっていました。
3歳半より小さなお子さんは、下記するラバーダムの装着だけで泣いてしまうことも多いのですが、「ああ、あの時見送らずにシーラントをしておけば良かった」とたいへん悔やみました。
局所麻酔の後、ラバーダム(治療する歯を隔離して唾液中の細菌の侵入を防ぐ膜状の器材)を装着して虫歯(むし歯)部分を削っていきましたが、ご覧のように1本はたいへん深い虫歯(むし歯)となっていました。
慎重に治療を進め、CR(コンポジットレジン)で修復しました。
虫歯(むし歯)になっていなかった奥歯や、治療した歯でも無事だった溝にはシーラントをします。
上の写真でお見せした2本の虫歯(むし歯)の治療後の写真です。
シーラントを全てのお子さんに勧めるべきかどうかは、議論が分かれていますが、当院では基本的に推奨しています。
シーラントの奥歯の溝に対する虫歯(むし歯)予防効果、あるいはごく初期の虫歯(むし歯)の進行抑制効果は絶大で、科学的にも高く評価されています。
近年は新しい製品も発売されていて、今年に入って歯科関係の雑誌数誌で特集が組まれました。
小児歯科学会でもシーラントに関するセミナーに出席してきましたし、当院エンゼル歯科でもメーカーの方に来ていただいて院内勉強会を開催しました。
研究者やメーカーの方々が口をそろえるのは、同じ製品であってもテクニックによって結果が左右される、ということでした。
奥歯の溝に過不足なくシーラントを流し込むのは繊細な技術と経験が必要です。
歯が生えきっていなくて使えない場合を除き、ラバーダムを使用することが大原則である、ということと、定期診査(定期健診)によって状態をチェックしていくということを実践すれば、多くのお子さんたちを虫歯(むし歯)から守ることができる歯科処置です。
それだけに冒頭に記したエピソードが残念で残念でならなかったわけです。
別のお子さんのシーラント処置前です。
こちらがシーラント後の写真です。
虫歯(むし歯)予防と言えばフッ化物(フッ素)が有名で、シーラントの知名度はまだまだ低いですが、現代人を虫歯(むし歯)から守る上で、強力な私たちの味方です。