トップページ > 子どもの歯にまつわるトピックス -シーラントについて-

シーラントについて

Q.シーラントとはどのようなものですか?

正確にはフィッシャーシーラントと呼ばれ、最も虫歯(むし歯)になりやすい奥歯の溝の部分を歯を削らずに専用の歯科材料で封鎖する処置です。

シーラント処置前の画像シーラント処置前
シーラント処置後の画像シーラント処置後

乳歯にも永久歯にも適用され、奥歯以外には永久歯の上の前歯の裏側(口蓋側)にある深い孔や、乳歯によくある癒合歯の境目部分の虫歯(むし歯)予防に有効です。

健康な歯だけでなくごく初期の虫歯(むし歯)に対しても応用されています。

Q.シーラントはなぜ必要なのですか?

現代人は昔の人々と比べて火で加工しない硬いままの食品や砂や小石が混じった食物を噛むことをしなくなっています。

そのため奥歯の溝はすり減ることがなく、虫歯(むし歯)の原因とされる細菌が繁殖しやすい複雑な溝や孔がそのままの形をしているためにそこから虫歯(むし歯)が発症します。

その複雑な溝を薬剤で前処理してから一種のプラスティック素材等でできているシーラントを流し込んで固め、封鎖してしまい虫歯(むし歯)になりにくい形にします。 これがシーラントの目的、必要性ということになります。

学問的なエビデンス(科学的根拠)においても虫歯(むし歯)予防や初期虫歯(むし歯)の抑制という面で上位にランクされていて、アメリカの各州では学校単位でシーラントプログラムを展開しています。

Q.シーラントが特に有効なのはどのような場合でしょうか?

歯は生え始めてから2年間ほどの期間は、表面のエナメル質という本来硬い部分が質的に未成熟で虫歯(むし歯)になりやすいのですが、 奥歯の場合にはそれに加えて複雑な形の溝があるのでさらにリスクが高いわけです。

乳歯でも永久歯でも生えてから間もない時期に、できればラバーダムを使用してシーラント実施し、確実に溝を封鎖することで溝の部分等の虫歯(むし歯)を防ぐことができます。

たとえば2~3歳以前に上の前歯が虫歯(むし歯)になったお子さんは、その治療と同時に奥歯にシーラントをしていくことで奥歯を虫歯(むし歯)から守ることができてたいへん有効です。 (ただし、当然ながら歯の間の虫歯(むし歯)はシーラントでは防げません。)

保護者の方が虫歯(むし歯)の経験が多かった場合にはいくつかの理由でお子さんも虫歯(むし歯)になりやすいことが予想され、 シーラントは特に効果が高いと言えます。

また、永久歯の中で最も虫歯(むし歯)になりやすい第一大臼歯(6歳臼歯)や、12歳頃に生えてくる第二大臼歯(12歳臼歯) は特に生えてから2~3年の間は虫歯(むし歯)のリスクが高い時期なのでシーラントは極めて有効で、その後も定期的にチェックをすることが大切です。

乳歯に虫歯(むし歯)治療の経験があるお子さんは、永久歯の6歳臼歯(第一大臼歯)が生えてきたら躊躇なくシーラントをしなければ6歳臼歯は虫歯(むし歯)になる可能性が高いので、 この時期は定期診査も間隔を短くして対応するようにしています。

危険な時期を脱してしまえば虫歯(むし歯)になる可能性は徐々に低くなるので、成人の方に対してシーラントが必要、有効というケースは少ないことになります。

Q.シーラントをすることのデメリットはありますか?

シーラントは歯への前処理によって接着の効果を高めた後に溝の部分に流し込んで硬化させる材料です。
ラバーダムを使用して処置をしても少しずつはがれたり欠けたりすることがあるので、定期的にチェックをしていく必要があります。
これをデメリットと考えるかどうかですが、放置すれば虫歯(むし歯)になってしまった可能性のある歯を守ることができるというメリットはそれをはるかに凌駕するでしょう。

シーラント実施の有無にかかわらずお子さんの歯の定期診査は重要です。
シーラントをすることでかえってステップ(段差)が生じて虫歯(むし歯)を誘発するような記載を稀にネット上で見かけますが、ラバーダム不使用の唾液まみれの状況でアバウトな処置をすればその可能性はあると考えられます。
しかし、ラバーダム使用を原則として繊細なテクニックにより慎重におこなえばステップ(段差)が生じることも少なく、定期診査でチェックして必要な場合は再処置をすることで良好な状態を保てます。

Q.シーラントには種類があるでしょうか?

いくつかのメーカーからタイプの異なる製品が発売されています。

色に関しては赤色(半透明で濃いピンク色に見えます)、白色、透明などがあり、素材についても数種類がありそれぞれに特徴があります。

当院では外観に触れにくい歯では脱落の有無の管理がしやすく半透明で内部が視認できるレジン系(プラスティックの一種)の赤色を使用し(写真:複雑な溝に合わせて過不足なくシーラントが流し込んである様子がわかります)小臼歯等にはレジン系の白色を使用しています。

シーラント処置前の画像シーラント処置前
シーラント処置後の画像シーラント処置後

フッ化物を徐々に放出する性質と脱落率が低いというデータを重視して製品を選択しています。

Q.シーラントをする際にはラバーダム使用が必要ですか?

ラバーダムによって乾燥状態が得られ、シーラントが歯に確実に接着するために、可能であれば使用すべきです。
どのメーカーの担当の方も口をそろえてラバーダムの使用が良好な結果につながるとしています。
しかし、生えてくる途中で既に奥歯の溝の部分が虫歯(むし歯)の兆候がある場合は、 生え方が少なすぎてラバーダムが使用できないため簡易防湿という方法でまずはシーラントをおこない、次回の定期診査でラバーダム防湿下で再度実施することもあります。

Q.シーラント処置はどのような手順で実施されますか?

  • ①対象となる歯にラバーダムを装着します。
    (ラバーダム防湿法はシーラントの成否を左右するので原則としては使用しますが、生え方が少ないが待っていては虫歯(むし歯)になりそうな歯には「簡易防湿」という方法で実施することもあります。)
  • ②歯科用の回転するブラシで歯面を清掃します。
  • ③専用薬剤による歯の溝への前処理と溝の機械的な清掃をします。
  • ④一定時間水洗後、確実に歯面を乾燥します。
  • ⑤シーラント材を溝に流し込み、歯科用器具で溝の形に沿って誘導した後に余分な部分は綿球で吸い取ります。
    この際に大切なのは溝の深さに合わせて「谷川に水が流れるように」過不足なくシーラントをすることです。
    そのお子さんの歯の形や溝の特徴、かみ合わせの強さや歯ぎしりの有無、歯の減り具合なども考えて実施するため、非常に繊細なテクニックを要します。
  • ⑥歯科用の照射器で一定時間光を当て、シーラント材を硬化させます。
  • ⑦ラバーダムを外して完了です。

処置に要する時間は連続した1~3歯の1か所の場合ではおおむね10分程度、部位の異なる2か所では15分程度です。

※症例写真はすべて、患者さん・保護者の承諾を得て掲載しております

NEXT -
赤ちゃんの歯みがき剤(歯みがき粉)について

上へ戻る