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子どもの歯について

■歯の構造と乳歯と永久歯の関係

歯の構造は基本的に乳歯も永久歯も共通しています。
いちばん外側の硬い部分がエナメル質、その内側のやや柔らかい部分が象牙質です。
歯根(しこん=歯の根の部分で通常は外側からは見えません)の表面にはセメント質があり、 歯根膜というクッションのようなもので歯根は支えられています。 そして、誤解を招きやすいのが歯の内部の「歯髄」です。
歯髄は歯の中にあって神経繊維や血管を含むゼリー状の柔らかい組織です。
なぜか「神経」と呼ばれることが多く、歯学部では全く使われないのですが歯髄を治療する場合に、 一般に「神経を抜く」などと表現されてしまいがちなため、乳歯の歯髄を治療した際に 「永久歯の神経に影響は?」などという疑問が生じてしまうようです。

当院では正しく歯髄と呼び、図のように乳歯と永久歯の歯髄は別々に独立して存在することをご説明しています。

歯の構造

乳歯と永久歯胚

■子どもの歯の特徴

乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、細菌のアタックに弱いために一度虫歯(むし歯)になってしまうと進行が速いという特徴があります。
また乳歯、永久歯ともに生えてから2年ほどは歯の表面が質の上で未成熟なため、虫歯(むし歯)になりやすく、この時期にしっかり予防することが大切です。
この未成熟な時期はフッ化物の取り込み効果も高く、機を逃さずにフッ化物応用やシーラント処置をするのがベストと言えます。

■乳歯の生える時期と順序

乳歯は永久歯に比べて生える時期や順序がバリエーションに富んでいます。

最も一般的なパターンをみてみましょう。
(日本小児歯科学会2019年の報告によります。)

乳歯の生える時期と順序01

  • 1) 下の前歯の中央(下のA)2本
  • 男児5~9か月
    女児6~9か月
  • 2) 上の前歯の中央(上のA)2本
  • 男児7~11か月
    女児7~11か月
  • 3) 上の前歯の中央から2本目(上のB)
    左右2本
  • 男児9か月~1歳2か月
    女児9か月~1歳1か月
  • 4) 下の前歯の中央から2本目(下のB)
    左右2本
  • 男児9か月~1歳3か月
    女児9か月~1歳1か月
  • →ここまでで上下前歯8本です。
  • 5) 上の中央から4本目の歯でこれは乳犬歯ではなく第一乳臼歯(上のD)という奥歯です。
  • 男児1歳1か月~1歳7か月
    女児1歳1か月~1歳7か月
  • 6) 下の中央から4本目(第一乳臼歯 下のD)
  • 男児1歳1か月~1歳6か月
    女児1歳1か月~1歳7か月
  • 7) 上の中央から3本目(乳犬歯 上のC)
  • 男児1歳2か月~1歳8か月
    女児1歳3か月~1歳9か月
  • 8) 下の中央から3本目(乳犬歯 下のC)
  • 男児1歳2か月~1歳9か月
    女児1歳4か月~1歳9か月
  • ここまでで全部で16本。
  • 9) 最後が乳歯の一番奥の歯(第二乳臼歯 E)
    下が
  • 男児1歳11か月~2歳7か月
    女児1歳11か月~2歳7か月
  •  上が
  • 男児2歳0か月~2歳11か月
    女児2歳1か月~2歳10か月
  • →これで20本の乳歯がそろいました。

表にまとめると下のようになります。

男児

歯種 標準萌出機関
上顎 A 7か月 - 11か月
B 9か月 - 1歳2か月
C 1歳2か月 - 1歳8か月
D 1歳1か月 - 1歳7か月
E 2歳0か月 - 2歳11か月
下顎 A 5か月 - 9か月
B 9か月 - 1歳3か月
C 1歳2か月 - 1歳9か月
D 1歳1か月 - 1歳6か月
E 1歳11か月 - 2歳7か月

女児

歯種 標準萌出機関
上顎 A 7か月 - 11か月
B 9か月 - 1歳1か月
C 1歳3か月 - 1歳9か月
D 1歳1か月 - 1歳7か月
E 2歳1か月 - 2歳10か月
下顎 A 6か月 - 9か月
B 9か月 - 1歳2か月
C 1歳4か月 - 1歳9か月
D 1歳1か月 - 1歳7か月
E 1歳11か月 - 2歳7か月
日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する
調査研究Ⅱ(日本小児歯科学会2019年)より引用


順序や時期には大きな個人差があります。
歯は前から奥に向かって順番に生えていくわけではありません。多くの場合は乳犬歯より奥歯の第一乳臼歯が先に生えます。(もちろん乳犬歯が先のこともあります。)
上記で紹介した生える時期や順序はあくまで平均的な例です。特に乳歯については順序や時期にかなりの個人差があります。順序のバリエーションも数十通りあるということです。

中央が生えていないのに2本目が先に生えたり、左右に差があることも乳歯では珍しくありません。1歳を過ぎても1本も生えない子もよくいます。ほとんどの場合には、その子なりのペースで生えそろっていきます。

歯が多数にわたって無いというケース(その場合の多くは先天性の疾患に伴うものです。)や一部の歯が、存在するのに生えないということも少ない頻度ながらあります。
乳歯の生え方や順序がご心配であれば小児歯科専門医等を受診すると良いでしょう。

乳歯の生える時期と順序02

■乳歯についての心配ごと

癒合歯

2本の乳歯がくっついた形で生えてくる「癒合歯」はおよそ5%前後のお子さんにみられます。

詳しくは「歯の形がおかしい?」をお読みください。

幼児健診等では「心配ない」として細かいところまで説明されないこともあるようですが、いくつかの注意点や経過観察のポイントがあります。

■写真1

写真1は下顎の左(向かって右)の1番目と2番目が癒合歯。
境目がなく、一見すると幅広い歯にみえるタイプ。このタイプは後述する虫歯(むし歯)の心配はほとんどありません。

■写真2

写真2は左下の2番目と3番目の癒合歯で境目があるタイプ。このタイプは境目部分の虫歯(むし歯)予防が必要です。

■写真3

写真3は上の前歯の1番目と2番目の境目のあるタイプの癒合歯が虫歯(むし歯)になってしまったケース。ラバーダム使用のもとで治療をする前の状態です。

癒合歯には注意すべき点は大きく分けて3つあります。

①虫歯(むし歯)になりやすいタイプの癒合歯

境目のあるタイプの癒合歯はこの境目部分から虫歯(むし歯)になることが多いので予防が大切です。 この境目を白色のシーラントで封鎖し、虫歯(むし歯)になりにくい形にすることはたいへん有効です。
写真は白色のシーラントをした境目のある癒合歯です。

② 生えかわり期に注意

癒合歯の下に育つ永久歯は、永久歯の癒合歯も稀にはありますが、多くは永久歯が1歯ある場合 (全体の永久歯の数は1歯少ない)と本来の2歯ある場合に分かれます。
どちらにしても乳歯の癒合歯から永久歯への生えかわりはスムースにいかないことが多いので、 5~6歳までにX線診査により永久歯の数や位置を調べておいて、生えかわりが近くなったらタイミングよく乳歯の癒合歯を抜歯する必要があります。

③ 歯ならびの問題

乳歯の癒合歯の下にある永久歯が本来の2歯の場合には、スペースが狭いために歯ならびに影響することがあります。
歯ならびは癒合歯の存在以外に、もともと顎のスペースに余裕があるかどうかでも左右されます。


乳歯に癒合歯があるお子さんは上記①②③について歯科医院での経過観察、必要なケースではシーラント等の予防処置、X線による永久歯の状態の把握や必要に応じた癒合歯の抜歯、歯ならびへの対応等を長期的継続的に受けていくことが大切です。

乳歯の過剰歯

乳歯に過剰歯(余分な歯)が存在することは永久歯の過剰歯に比べると稀です。
乳歯の過剰歯はさりげなく歯列の中に取り込まれていることが多く、当面はそのまま経過観察、 将来は永久歯の状況をX線で調べて必要があれば抜歯をします。

写真のケースも一見しただけではわかりにくいですが、本来10本の上顎の乳歯が11本あり矢印の歯が過剰歯と考えられます。永久歯への生えかわりが近づくまで経過観察します。

乳歯の過剰歯

■永久歯の生える時期と順序

永久歯には乳歯が抜けた後に生えてくるもの(代生歯)と乳歯の奥歯のさらに奥に生えてくるもの(加生歯)があります。

6歳頃になると下の乳歯の前歯が揺れ始め、多くは自然に脱落して永久歯が生えてきます。ほぼ時を同じくして乳歯からの生えかわりではなく乳歯の奥歯のさらに奥に6歳臼歯(第一大臼歯 6)が生え始めます。

永久歯が生え始める年齢は個人差があり、同級生に永久歯が生えたのにまだ生えてこないと心配される保護者の方も多いですが、大多数は心配不要です。
乳歯が生えるのが遅かったお子さんは永久歯も遅めです。(先天欠如と言って永久歯の一部がもともと存在しないお子さんはいますが、それはX線での診査を必要とします。)

上下の前歯がそれぞれ4本ずつ永久歯に生えかわり、6歳臼歯が上下左右で計4本生えた段階でおおむね9歳頃になります。
この時点で残りの乳歯は12本、永久歯も12本の計24本の歯があり、この状態がしばらく続きます。生えかわりが少し小休止となるのですが、また時期が来れば残りの乳歯が永久歯に生えかわり始めます。

この、乳歯と永久歯が混在している時期を「混合歯列期」と言います。 12歳頃までには横の方に残っていた乳歯(側方歯群=C D E)も抜けて永久歯(3 4 5)に生えかわり、6歳臼歯のさらに奥に12歳臼歯(第二大臼歯 7)が生えてきて、親知らず(第三大臼歯 8)を除く全ての永久歯がそろってきます。

乳歯の生える時期と順序01

永久歯が生える時期を表にまとめると下のように
なります。

男児

歯種 標準萌出機関
上顎 1 6歳6か月 - 7歳10か月
2 7歳6か月 - 9歳2か月
3 9歳10か月 - 12歳1か月
4 9歳1か月 - 11歳7か月
5 10歳3か月 - 13歳2か月
6 5歳11か月 - 8歳7か月
7 12歳1か月 - 14歳5か月
下顎 1 5歳6か月 - 7歳0か月
2 6歳3か月 - 8歳3か月
3 9歳2か月 - 11歳3か月
4 9歳5か月 - 11歳6か月
5 10歳4か月 - 13歳0か月
6 5歳10か月 - 7歳6か月
7 11歳3か月 - 13歳10か月

女児

歯種 標準萌出機関
上顎 1 6歳3か月 - 7歳7か月
2 7歳2か月 - 8歳8か月
3 9歳2か月 - 11歳4か月
4 8歳11か月 - 11歳0か月
5 10歳1か月 - 12歳11か月
6 5歳10か月 - 8歳4か月
7 11歳9か月 - 14歳3か月
下顎 1 5歳5か月 - 6歳7か月
2 6歳3か月 - 7歳8か月
3 8歳8か月 - 10歳5か月
4 9歳1か月 - 11歳1か月
5 10歳2か月 - 13歳1か月
6 5歳6か月 - 7歳0か月
7 11歳2か月 - 13歳10か月
日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する
調査研究Ⅱ(日本小児歯科学会2019年)より引用


上記したように、永久歯には乳歯から生えかわるもの(代生歯)が20本、乳歯の奥に生えてくるもの(加生歯) が親知らず(大三大臼歯 8)を除き8本あります。

■永久歯が生える頃の心配ごと

乳歯が抜けないうちに永久歯が生える

乳歯から永久歯への生えかわりは、乳歯が次第に揺れてきて自然に脱落するのが理想的です。
しかし、現代人では乳歯が抜けないうちに永久歯が生えてしまうことが少なくありません。特に歯ならびに余裕がない(顎のスペースが狭い)お子さんにはそれがよく起こります。
最も頻度が高いのが下の前歯の乳歯が抜けないうちに内側(舌がある側)から永久歯が生えてしまうケースです。(写真)


この場合、乳歯には永久歯による歯根吸収(イメージとしては永久歯が乳歯の根を溶かしながら骨の中から上がってくる) が起きず、乳歯の根が長いまま残っているために乳歯はほとんど揺れていないこともあります。
このまま放置しても乳歯の自然脱落は期待できないため、歯科医院で乳歯を抜く必要があります。
最初の生えかわりで歯科医師が手を加えなければならないのはご不安もあるかもしれませんが、 たいへんよくあることですし抜歯自体は比較的簡単なことが多いのでご心配には及びません。


ご家庭で抜こうとすると場合によっては薄く長く残った歯根(写真)が折れてしまうので、必ず歯科医師に抜歯をしてもらいましょう。


下の前歯以外でも乳歯が抜けないうちに乳歯の前側(唇がある側)や横(頬がある側)からなど永久歯が生えてしまったときは抜歯が必要です。
全ての乳歯を歯科医院で抜かなければならないことは稀ですが、現代人は進化あるいは退化との関連で自然に歯が生えかわらないこともあるのです。

6歳臼歯の上の腐骨(ふこつ)

6歳頃に、乳歯からの生えかわりではなく乳歯の奥歯のさらに奥に生えてくるのが6歳臼歯(第一大臼歯 6)です。歯の中で最も大きく、 咬むことや顎の発育にとって大切な歯です。
大きな咬むための面(咬合面)を持っていますが、この歯が骨の中から生えようとして上がってくる際にこの面に接していた骨の一部がなくなりきらずに残っていることがあります。

これを萌出性腐骨(ほうしゅつせいふこつ)と呼び、歯科医院で除去します。

長期間残ったままだと周囲の歯肉が炎症を起こしたり、歯垢が停滞して虫歯(むし歯)を誘発する可能性があります。
この腐骨は自然に脱落することもあり「歯が欠けてしまった」と誤解されることが多いですが、腐骨が残っていないようなら心配は要りません。(念のため受診すると安心です。)

6歳臼歯の異所萌出(いしょほうしゅつ)

顎のスペースが狭いお子さんでは、前歯が重なったり曲がったりして生えてきますが、奥歯の部分にもスペースの不足があると6歳臼歯(第一大臼歯 6)がその手前の乳歯(第二乳臼歯 E)に引っかかってしまって生えにくかったり、乳歯を溶かして健康な乳歯を抜歯せざるをえない状況に追い込んでしまうことがあります。
これを6歳臼歯の異所萌出などと呼びますが、スペースの管理や矯正治療が必要となります。

過剰歯

永久歯系の過剰歯(余分な歯)はおよそ100人にひとりと、かなりな高確率で見つかります。
大多数は上の前歯付近に存在し、上向きで生えてこないもの(逆生)、下向き(順生。他の永久歯と同じ向き)で生えてくる可能性があるもの、 逆生が2本、逆生と順生が各1本などいくつかのパターンがあります。

いずれも本来のメンバー以外の不要な歯で、形も丸みを帯びつつ尖っています。多くの場合は抜歯や摘出をする必要があります。 生えてきそうなケースは生えるのを待って抜歯をしますが、生えないものは小さな手術となります。
順生の過剰歯が上の乳歯の前歯の直下から生えようとした場合には、あたかも正規メンバーの永久歯のように乳歯の根を溶かしながら上がってきて、 乳歯が抜けたら尖った形の過剰歯が顔を出す、ということもあります。
永久歯の上の前歯が生えてくる頃、あるいはもう少し早く摘出することが望ましいとされます。 過剰歯の存在を予め知っておき、本来の永久歯や歯ならびへの影響が発生する前に対応する必要があります。

当院エンゼル歯科ではお子さんが4歳頃になったら、必ず上の前歯部分のX線撮影をして過剰歯の有無を確認するようにしています。
また、過剰歯は家族性に現れることが多いので、過剰歯があったらそのお子さんのごきょうだいや将来パートナーを得て生まれてくるお子さんについても必ず調べておくことが大切です。

乳歯の上の前歯の内側(口蓋側)から
生えてきた順生の過剰歯

抜歯した過剰歯

X線で見つかった2本の逆生過剰歯

※症例写真はすべて、患者さん・保護者の承諾を得て掲載しております

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