2011年11月19日
「前歯溶けても」のニュースに接して
ご無沙汰してしまいました。
11月17日にTBS系列のメディアから 「前歯溶けても」歯医者に行けない子どもたち と題したニュースが流れました。
重度のむし歯(虫歯)になってしまったお子さんたちの状況が紹介され、そこまでに至る背景として、家庭環境の影響、特に保護者に医療費を支払う余裕がないことや、自治体によって小児の医療費助成の対象年齢が異なり、補助の手厚くない地域では受診が抑制されがちなことなどが指摘されていました。
「口腔崩壊」という言葉も使われるようになった昨今、低年齢児の重度むし歯(虫歯)が今でもあり、それに対する対応が不十分であるということを報道していただいたことは、たいへん的を射ていると思います。
ただ、以前にも書きましたが低年齢児の重度むし歯は、必ずしも家庭環境が良くないから発症するわけではありません。
方法に多少の偏りがあったにせよ、母乳育児などに真面目に取り組んでいる保護者の家庭であっても、起こり得るのです。
子育てに対してアバウトでもなく費用も負担可能なのに、お子さんが重度のむし歯(虫歯)になることもあり、そんな保護者の方々にとっては今回のニュースはかなりショックな論調であるかもしれません。(でも気を落とさないで下記を参考に受診先を探してみてください。)
そして、こうした低年齢の重度むし歯(虫歯)には確立された治療法がある(抜歯せざるを得ないほど進行している場合は別として)にもかかわらず、それを実践している歯科医師が時代とともに減ってきているという、歯科医療側の状況も見過ごせません。
「歯医者に行かれない」子どもたちも存在しますが、「行ったのに治らない」子どもたちも残念ながら存在します。
低年齢児の重度むし歯(虫歯)に対する治療法があることを知らない歯科医師も少なくないのが現実です。
適切な治療を受けられる小児歯科専門医にたどり着くまでに、受診先を探してあちこち訪ね歩いたというケースは、当院でも枚挙にいとまがありません。
お子さんのむし歯(虫歯)でお困りの方、この問題に関心のある方は、ぜひ最近の当ブログの記事(2010年~2011年)もお読みください。
特に受診先の探し方については、2010年9月25日の記事を参考にしていただけると思います。
また、授乳とむし歯(虫歯)の関連等については、下記リンク先の拙稿もご一読ください。
https://angel-dc.com/wp-content/uploads/2011/07/kiji.pdf
下の写真は当院で治療した低年齢児の治療前と治療後です。
低年齢児の重度むし歯(虫歯)の治療手順については2011年7月10日の当ブログやこちらでご紹介しています。
ひとりでも多くのお子さんが、専門的かつ適切な歯科治療を受けることができるよう願いつつ、情報発信をしていきたいと思います。