2011年07月10日
乳幼児のむし歯(虫歯)治療の実際 その2
乳歯のむし歯(虫歯)治療の中で、前歯の重度むし歯(虫歯)の治療法を前回の記事に続いてご紹介します。
一部に専門的な画像を含みますので、閲覧はその点をじゅうぶんにご承知おきください。
ダイレクトな写真を見たくない方はご遠慮ください。
平塚の街は七夕祭りが例年より規模を縮小しておこなわれました。
写真はスタッフが作ってくれた当院の受付にある七夕飾りです。
スペースがないのでほんの小さなものですが、可愛いですね。
さて、当院の診療用ユニットには、前回書いたようにブクブクうがいのための「スピットン」がありません。
ある2歳前の患者さんの治療前の状態です。
上の前歯4本のうち2本は歯の内部にある歯髄までむし歯(虫歯)による細菌感染が及んで膿んでいたので、「感染根管治療」をおこない、それが終了した時点が下の写真です。
治療中の画像は歯科医師(私)から見た状態なので、上下が逆になりますが、上の前歯の治療です。
この日は、歯の内部の治療をしないで済んだ歯と、既に感染根管治療を終えた歯を合わせて歯冠修復(歯の外観、形態の回復)をしました。
1)局所麻酔と2)ラバーダムの装着まで前回書きました。
https://angel-dc.at.webry.info/201107/article_1.html
3)むし歯(虫歯)の部分を切削、除去、整形
(その1)で記した局所麻酔、ラバーダム装着後に虫歯(むし歯)の部分を削って形を整えます。
4)コンポジットレジンによる歯冠の作製
一種のプラスティックである、光で固まるコンポジットレジンという材料と、専用の接着剤(ボンディング剤)を使用します。
ボンディング剤を塗布し、照射器で光照射します。
ピドフォームというシェル状の型を用意し、歯に合わせて専用のハサミでトリミングします。
中にコンポジットレジンを流し込んで歯の形を作り、
圧着して光照射で固めます。
型を撤去した後、研磨、調整をして完成です。
下の写真は、上の前歯4本の他、乳犬歯なども治療を終了した後日に撮影したものです。
おしゃぶりの影響があって、かみ合わせは開いてしまっています.。
http://angel-dc.at.webry.info/201011/article_1.html の例もご覧ください。
治療直後は歯肉からの出血がありますが、数日できれいになりますので、その後はむしろ積極的なブラッシングが望まれます。
かみ合わせの状態によっては稀に脱落してしまうこともありますが、多くの場合は問題なく経過します。
生えかわりまで3~4ヶ月ごとに定期診査をしてチェックしていきます。
前回も書きましたが、健康保険の範囲内の治療です。
上の前歯の歯の形を作るこうした歯冠修復法の名称ですが、健康保険診療においては「CRジャケット冠」あるいは「複合レジン冠」と呼ばれています。
今回ご紹介したようなケースの(前歯4本に限っての)治療回数は、感染根管治療に3~6回ほど、その後の歯冠修復に2回(左右2本ずつ)の通院です。
もう少し軽症で感染根管治療が不要なら4本を治療するのに2本ずつ2回で済みます。
また、このようなケースで窓口負担が2割の場合の費用は、前歯4本に関しての合計の概算で、初再診料や感染根管治療分を含め1万円弱程度となります。
小児医療費助成制度の対象となっていれば窓口負担はありませんが、お住まいの都道府県以外の医療機関を受診した場合は一旦窓口で2割分を支払う必要があります。
たしかに治療はたいへんではあります。
お子さんは大泣き、私たちは汗だくです。
でも、そのまま放置すれば抜歯せざるをえなくなります。
治療が不可能なほどむし歯(虫歯)が進行してしまっていれば、永久歯を守るためにもむしろ早期の抜歯が必要です。
ご紹介したケースはその一歩手前の状態だったと言えます。
治療が可能であるなら、人工物とはいえ外観と機能を回復することは精神面(保護者のそれも)を含めた大きなメリットがあると思っています。
低年齢児の重度むし歯(虫歯)でお悩みの方で、神奈川県平塚市から遠くない範囲にお住まいか、あるいはご実家など拠点がある保護者の方はご相談いただければと思います。
遠方の方は下記のサイトもご参考いただき、相談先を探してみてください。