2007年04月10日
歯科健診をクリアするには その2
桜もそろそろ終わりですね。数日前までお子さんたちの春休みだったので診療が忙しく、更新がすっかり遅くなってしまいました。(言い訳です。)
さて、前回の続きです。
学校や幼稚園・保育園の歯科健診をクリアできない原因には何が考えられるかについて、
1)初期のむし歯(虫歯)による着色や、ブラックステインなどの色素沈着が「歯科医院での精査を要する」と判定された。
2)治療をするべき大きさや深さのあるむし歯(虫歯)が存在する可能性があるので、精査を要する。
の二つの場合がある、と前回書きました。
私も学校歯科医をしていますが、初期のむし歯(虫歯)については、Co(シーオー)という別枠の判定基準もありますから、Coでなく「C」すなわちむし歯(虫歯)と判定されたケースでは1)はあまり多くないと思います。保護者の方がお子さんのお口を見てあげて、歯に着色や黒い部分があるようなら、念のためもう一度歯科医院でよく診てもらう必要があります。治療の必要がなければすぐに「受診のすすめ」に印鑑を押してもらえるはずです。ただし、翌年の健診でも同じように判定される可能性はあります。
2)については、さらに三つのケースが考えられます。
①治療するべきむし歯(虫歯)があるが受診していない場合。
②むし歯(虫歯)が進行している歯があるが、近い将来に抜ける乳歯であるので、積極的な治療をしていない場合。
③治療の成果が得られず、一見治療が終わっていてもまだ問題がある場合。
①のケースは、保護者もご本人もよくわかっていることと思います。恐怖心が強くて受診に不安があるなどの場合は、小児歯科を受診してみてはいかがでしょう。
以前のこの日記「小児歯科ってなに?」
https://angel-dc.at.webry.info/200701/article_2.html
https://angel-dc.at.webry.info/200701/article_3.html
https://angel-dc.at.webry.info/200701/article_4.html
「小児歯科の探し方」
https://angel-dc.at.webry.info/200702/article_1.html
を参考にしてみてください。
②は、歯科医師から説明を受けているなら、あまり気にする必要はありません。翌年の健診のときに抜け替わってしまっていれば、もう指摘されなくなります。ただし、抜けるのが近い乳歯であっても、ミュータンス菌の巣窟であるむし歯(虫歯)があるわけですから、他の健康な歯に影響が及ばないように、よくブラッシングをしましょう。。
もし、歯科医院を受診して治療も終わっているのに、毎回のように「受診のすすめ」に「むし歯があります。」の欄に○がついてしまうのなら③です。
もう一度お子さんのお口の中をよく見てみましょう。明るい電気スタンドの下などにお子さんを仰向けに寝かせ、できれば歯を見るための鏡(柄のついた小さなミラー。ドラッグストアでも売っています。)も使ってよく見てください。治療に用いた材料は、金属やプラスチック(コンポジットレジン)などいくつかの場合がありますが、明らかに黒くなっていたり、穴や段差が感じられる部分はありませんか?歯肉に膿がたまっている様子はありませんか?
最近では、小児の治療に手を抜く歯科医は少なくなりました。が、信じられないような治療?がしてある例も稀にはあります。
写真Aは遠方からみえたお子さんですが、生えかわる時期が違う第一乳臼歯と第二乳臼歯が連続して充填されてしまっています。ずっと以前に、ある小児歯科医が、最も低レベルな治療として「連続充填」と名づけたもので、もちろんこんな治療法はありませんが、まだこのような理解に苦しむ治療をおこなっている歯科医も絶滅してはいないようです。
③であるなら、同じ質の歯科治療をいくら受け続けても、学校歯科医が「治療済み」と判断することはないわけです。
写真A
歯科医療の基本を守った誠意ある治療の結果は、写真Bのように、歯科の知識が少ない一般の方々から見ても形がきれいで違和感がないものなのです。そして美しい治療結果が得られているケースでは、歯科治療の回数や費用について、納得のいく説明を受けることができているはずです。
写真B
むし歯(虫歯)になりやすいお子さんが、学校や幼稚園・保育園の歯科健診をクリアするためには、信頼できる歯科医のもとで治療を受け、その後の定期診査を続けることが不可欠なのです。