2026年03月03日
指しゃぶりとおしゃぶりについて
久々の更新となってしまいました。
2023年春の診療所移転、オンライン資格確認の開始等に加えて、月刊誌「チャイルドヘルス」に連載のページをいただき原稿の執筆等々にかまけてブログは放置してしまいました。申し訳ありません。
今後は雑誌連載記事に書いた内容をこのブログにも盛り込んでいきたいと思います。
今回は指しゃぶりとおしゃぶりについてです。
指しゃぶりやおしゃぶりとの上手な付き合い方や、やめさせるタイミングについて考えていきましょう。
指しゃぶり
指しゃぶりをしているお子さんの多くは、奥歯をかみ合わせたときに上下の前歯が接触しない「開咬」という状態になっています。

指しゃぶりは3歳頃までは生理的なものであるとするのが、小児歯科の研究者の間で最も広い支持を得ている考え方です。極端に頻度が高い場合を除き、3歳頃までは無理にやめさせる必要はないとされます。
保護者が気にし過ぎているような場合は、指しゃぶりをやめさせる労力や時間を子どもと遊ぶことに使えばお互いに楽しく過ごせて、そのうちに指しゃぶりも減る可能性があります。
3歳を過ぎたら徐々にやめさせる努力を開始すべきとされますが、この際にも叱らない姿勢が大切です。
昼間の起きているときにも指しゃぶりをしているなら「もう小さい赤ちゃんではなく大きくなったのだからやめてみよう」というように子どもの自尊心を刺激しながらやさしく説明します。
昼間の指しゃぶりが徐々に減り、寝つく前の短時間に限定していけば卒業の日は近づいています。寝かしつける際に、子どものしゃぶる指と保護者の指をつないでお話をしながら入眠を促すのも良い方法です。
3~4歳までに指しゃぶりをやめれば、多くのケースでかみ合わせは元に戻ります。
おしゃぶり
次に「おしゃぶり」です。おしゃぶりは鼻呼吸の促進という目的などで積極的に使用させる考え方もあるようですが、学問的には検証されていません。
シリコン製の種々のタイプが月齢、年齢別に付属品と共に発売されています。

おしゃぶりの使用によりすぐに入眠できたり、ぐずっている時に機嫌が直ったりという側面はありますが、小児歯科医の間では歯科的な影響を懸念する声も聞かれます。
使用期間が長くなるとかみ合わせへの影響は大きくなるので、できれば2才頃までに使用をやめるのが望ましいというのが研究者の間でほぼ一致した考え方です。
今後も各メーカーが様々な特徴を有する新製品を発売していくと思われますので、その影響についても時代と共に変化していく可能性があります。
市販されているおしゃぶりの中には高名な小児歯科専門医指導医が製品開発に関与しているものもあります。長期間の継続使用は良くないという点では歯科医師の意見が一致しているものの、今や上手に付き合って上手にやめさせるという時代なのかもしれません。
汚れたおしゃぶりを使用することによりむし歯や感染症の発症につながる可能性もありますので、使用するのであれば口の中もおしゃぶりも清潔な状態にします。電子レンジを用いて除菌するための専用ケースが付いている製品もあります。
指しゃぶりやおしゃぶりを長い期間続けると、開咬の状態に加えてかみ合わない上下の歯の間に舌を突き出す癖がついてしまったり、上顎の骨の幅が狭くなって下顎が片側に偏移し、左右非対称になるなどの影響が出てくることがあります。
口の中に装置を入れて改善する方法もありますが、そうなる前に卒業できればそれに越したことはありません。
就学年齢以降も続く頑固な指しゃぶりについては対応がむずかしくなります。発達特性があるお子さんでは、無理にやめさせようとすることが心理面の問題や他の癖への移行を引き起こすこともあり、保護者とお子さんをフォローする多職種の方々の連携のもとで取り組めれば理想的です。





