2016年08月22日
小児歯科とラバーダム
歯科治療におけるラバーダムの有効性についてはこのブログでも何度も書きましたしドクターズファイルのインタビューでも強調しておきました。
当院では可能であるケースの治療の際には必ずラバーダムを使用しています。
一見何の変哲もないゴムのシートですし、それ自体は滅菌されているわけでもないのですが、ラバーダムの使用によって細菌の含まれる唾液をシャットアウトできるということが、使用しない場合に比べて歯科治療の成績が格段に上がる理由だと思います。
写真は以前に他の歯科医院からご紹介いただいた9歳のお子さんです。外傷のために上の前歯(永久歯)が折れてしまい、細菌感染して膿んでしましました。
感染根管治療(歯の内部の治療)を何度か実施しても炎症が治まらず、歯科治療に対する恐怖心も強いとのことで当院に紹介されました。
治療前の状態です。
ラバーダムを使用すると、口がふさがっている感じがあるので最初は嫌がりますが、治療が始まると喉の方に水や薬液が流れることもなくむしろ楽なので、協力度の低かったお子さんでも平気で治療が受けられるようになります。
このケースでは当院での感染根管治療は1回だけで、2回目には根管充填(歯髄があった空洞を薬剤で満たす処置)をして同日のうちに歯の外観と機能を回復する歯冠修復まで行いました。
治療後の写真とX線写真です。
2年経った現在も修復物の脱落もなく良好に経過しています。
破折部分が大きいため、接着技術が進歩したとはいえこのままでは脱落の可能性もあるので将来的には本格的な再修復が必要ですが、小中学生の間は経過観察で良さそうです。
歯科的には極めて一般的な薬剤や歯科材料を使用して普通に治療していますが、こうした一連の治療(感染根管治療=歯の内部の治療 ⇒ 歯冠修復=外観と機能の回復)をラバーダム使用のもとでおこなうことが、結果を左右すると考えています。
低年齢児のむし歯(虫歯)治療でもラバーダムは不可欠です。
動画もご覧ください。