2014年11月06日
小児歯科 低年齢児の虫歯(むし歯)治療の実際
「小児歯科 低年齢児の虫歯(むし歯)治療の実際」という動画をYou Tubeにアップしました。
乳歯の虫歯(むし歯)治療、特に低年齢児、乳幼児の上の前歯の重度虫歯(むし歯)の治療手順(ピド・フォームという器材を使用しています)について、前回アップした動画より詳細に紹介してみました。
奥歯1歯も同時に治療しており、当院で実践しているOne Quadrant Treatment System(局所麻酔の効いている範囲で多数歯を1回で治療する手法)の一端もご覧いただけます。
今回の動画は9分と長くて大作?なので、ご覧になるのもたいへんで恐縮ですが、我田引水ながら小児歯科にご興味のある研修中の歯科医師の方々にも見ていただきたい内容です。
専門的な映像と専門用語を含みますので、医療関係者以外の方は、どうしても必要な方のみに慎重にご視聴いただきたいですが、お子さんの重度虫歯(むし歯)にお悩みで解決策を探していらっしゃる保護者の方にもご参考になればと思います。
なぜBGMが「美しく青きドナウ」なのかですって?
You Tubeで簡単に使える曲で9分を越えるのは、この曲か葬送行進曲くらいしかなかったのです。すみません。
小児歯科が分野として歯科学の中に日本で確立した濫觴は、1970年頃にさかのぼります。
当時「虫歯(むし歯)の洪水」と言われたほど子どもの虫歯(むし歯)は多く、社会問題となっていました。
そこで、全国の大学歯学部に次々と「小児歯科」の研究室と診療室が開設されたということです。
そのパイオニアのおひとりが、アメリカから小児歯科診療のノウハウを持ち帰って若くして教授になられたO先生でした。
O先生の小児歯科診療は、治療中の歯への唾液中の雑菌の侵入をシャットアウトするため、スピットン(うがいをするための設備)がなく、ラバーダムというゴムの膜状の用具を徹底して用いたシステムです。
私は、O先生の研究室の中心メンバーであったM先生が後に開業された小児歯科専門歯科医院に勤務し、その診療スタイルを受け継ぎました。
M先生は、歯科医師としての適性があったとも思えないかつての私に、本当に根気よく教えてくださいました。
「修復物が脱落することが少ない」「一度治療した歯が再感染することが少ない」のはこの診療システムに負うところが大きいものと思います。
小児歯科という狭い分野ではありますが、良き師に恵まれ、誰に見られても恥ずかしくない診療を日々提供できることに、歯科医師として幸せを感じています。