2011年06月22日
歯の数の過不足について
梅雨晴れの青葉も目にまぶしい季節となりました。
震災、原発への対応は依然続いています。
一歩ずつでも進んで欲しいと思います。
さて、今回お届けする情報は「歯の数」についてです。
通常、乳歯は20本、永久歯は智歯(おやしらず)を除くと28本です。
しかし、上記の標準の数でない方も意外に多く、そのために少し注意が必要な場合もあります。
・歯の数の不足
乳歯の前歯には癒合歯(2本がくっついて1本になった形の歯)がよくみられます。
下の写真の例では本来2本あるべきところにハート型の歯が
1本だけ生えていて、これが癒合歯です。
癒合歯があることで乳歯全体の本数は標準より少なくなりますが、その癒合歯の後に生えてくる永久歯の数は2本である場合と、やはり少なく1本の場合があります。
(永久歯も癒合歯というケースもありますが、ごく稀です。)
いずれにしても乳歯の癒合歯から永久歯への生えかわりはスムースにいかないことが多いので、あらかじめX線診査をして永久歯の数や位置を確認しておきます。
生えかわりの時期が来たら、必要があれば乳歯の癒合歯をタイミング良く歯科医院で抜いてもらいましょう。
また、歯ならびの問題が生じることもありますので、歯列矯正も視野に入れた定期的な診査が望まれます。
癒合歯に関して、詳しくはこちらの「癒合歯」 をご覧ください。
一方、乳歯の数が標準であっても、一部の乳歯の下に永久歯が育っていない(もともと存在しない)ことがあります。つまり、乳歯は全てあったのに後継の永久歯の数が1~2本少ないというケースですが、これも比較的よくあるのです。
永久歯がない部分の乳歯は抜けずに長く残っていることが多いので大切に使い、乳歯が失われてしまったらそのスペースを確保する装置を入れることもあります。
将来は歯列矯正、ブリッジ、インプラント等の方法で補うことになります。
・過剰歯
標準より歯の数が多いことがあり、余分な歯を過剰歯(かじょうし)と呼びます。
過剰歯は上の前歯部分の骨の中に1~2本が潜んでいて生えてこないことが多く、その場合は適切な時期に摘出(小さな手術となります)する必要があります。
過剰歯の存在を知らなかったり、放置したままタイミングを逃すと、永久歯の前歯そのものや将来の歯ならびに影響を及ぼしてしまうことがあります。
下の写真は乳歯が抜けないうちに予想外のところから永久歯が生えてきてしまい、X線で調べたところ中央に上向き(逆性)の過剰歯が2本あって生えかわりや歯ならびに大きな問題が生じていました。
もっと早く過剰歯を見つけて摘出しておけば防ぐことができた事態です。
私の歯科医院では4歳頃に1回だけ(むし歯がなくても)上の前歯部分のX線を撮らせていただくようにしていますが、その最大の目的が過剰歯の発見です。
4~5歳までに見つけておけば、最適な時期(多くは7~8歳頃)までに抜歯や摘出をおこなうことができ、良くない影響も防ぐことができます。
また、過剰歯は家族性にあらわれることが多いので、お子さんに過剰歯があった保護者の方は、将来お子さんが結婚してお孫さんができたときに、そのことを思い出していただき、お孫さんが4歳頃になったら歯科医院でX線を撮ってもらってください。
上記したような歯の数の過不足、特に永久歯に関することはX線の助けを借りなければわからないので、3歳児健診や保育園、小学校の集団歯科健診では検出できません。
今までにむし歯等の指摘を受けたことがないお子さんも、4~5歳までに歯科医院で精密な診査をお受けになることをおすすめします。