重版出来と歯科医療の共通点

このブログにはあまり趣味的なことは書かないようにしているのですが、先日「重版出来(じゅうはんしゅったい)」というドラマの1話と2話を見て思ったことがあります。
そのドラマは、良い漫画作品を世に出そう、たくさん売って多くの人に感動してもらおうと奮闘する出版社編集者が主人公。
いくら作品がすぐれていても、漫画家本人や編集者だけでなく営業や宣伝、製版や印刷、デザイナー、書店員など多くの人が努力をしなければ本は売れないということがよくわかりました。
そして、良い作品が売れてさらに多く印刷する「重版」が決まった時、かかわった人たちが喜びを分かち合うことになります。

小児歯科には何の関係もない話に思えますが、以前にお会いした、乳歯の重度虫歯(むし歯)等の治療に用いる「ピド・フォームクラウン」の販売会社の方のことをドラマを見て思い出しました。
良い製品を輸入販売して多くの歯科医師に正しく使ってもらう立場の販売会社の方々は、仕事を通じて歯科医療に深くかかわりながら多くの患者さんを救っていることに誇りを持っていることが、話をしていて感じられました。

写真は突然の外傷で上の前歯が折れてしまった2歳の患者さん。

外傷即根充左上A-0000

破折は歯根にまで達していてすぐに抜髄、根管充填をして(この写真と次の写真は治療する側から見ています。専門用語で申し訳ありません。なんとなく意味を想像してください。)

外傷即根充左上A00

ピド・フォームクラウン(写真中央の透明な物)を使って破折した部分をまとめるように歯の形を作り

外傷即根充左上A0

おおむね元の状態に近い感じで修復することができました。

外傷即根充左上A02

この処置を直接おこなったのは私とスタッフで、がんばったのは患者さんの2歳児ですが、局所麻酔薬、ラバーダム関係器具、根管治療関連薬剤、ピド・フォームクラウンやコンポジットレジン等々、何十ものメーカーや販売会社の製品があって初めて成立する治療です。
どれ一つ欠けてもできないのです。

漫画家は何億もの人々に夢や感動をもたらすことが可能な職業ですが、読者に届く過程には多数の職種の人々の情熱や努力があることが「重版出来」では描かれています。
歯科医師が一生を通じて診療できる人の数はせいぜい万単位ながら、まずは歯科材料や器具を的確に使用して性能を最大限に引き出す診療法を私たちに教育してくださった方々(私の場合は基礎的なことは母校、診療は恩師M先生)の存在があります。
そして、1本の歯の治療によって落胆が笑顔に変わるまでの間に、「重版出来」の世界と同様にたいへん多くの研究者、開発メーカー、販売会社、歯科材料店等がかかわっているのだなあ、とドラマを見て改めて思ったのでした。

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